17/08/2009

米議員が10年ぶりミャンマー訪問 軍政トップと会談へ

【ワシントン=村山祐介】米国務省のクローリー次官補は14日の会見で、ウェッブ上院外交委員会アジア太平洋小委員会委員長(民主党)が同日ミャンマー(ビルマ)入りしたことを明らかにした。

米連邦議員のミャンマー訪問は約10年ぶり。15日には、米要人として初めて軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長と会談する予定だ。民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんの即時解放や、スー・チーさんの自宅に侵入したとして実刑判決を受けた米国人男性の釈放を求めるとみられる。

 表向きは「米政府とは別」との立場からの接触だが、ウェッブ氏は事前に米政府から説明を受け、現地滞在中は米大使館員が同行している。

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米上院議員がスー・チーさんと面会 米国人男性釈放へ

【バンコク=藤谷健】ミャンマー(ビルマ)訪問中のウェッブ米上院議員(民主党)は15日、首都ネピドーで軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長と会談した。その後、最大都市ヤンゴンにある政府のゲストハウスで、自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんとも面会した。

92年に軍政トップについたタン・シュエ氏が米要人と会うのは初めて。会談でウェッブ氏は、スー・チーさんの即時解放やスー・チーさんの自宅に侵入したとして7年の実刑判決を受けた米国人男性の釈放を求めた。ウェッブ氏の事務所によると、米国人男性は16日、国外退去処分の形で釈放されるという。

 スー・チーさんとの面会は会談後に許された。関係者によると、会談は25分ほど続いたという。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も7月のミャンマー訪問でスー・チーさんとの面会を希望したが軍政側は認めておらず、今回は異例の厚遇を見せた。

 ウェッブ氏は上院外交委員会アジア太平洋小委員長を務める有力議員。オバマ政権はミャンマーとの関係見直しに言及している。しかしスー・チーさんの自宅軟禁の継続決定で米欧を中心に国際社会の批判が一層強まっており、軍政側は柔軟姿勢を示すことで批判を和らげたいとの思惑があると見られる。

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スー・チーさん宅侵入の米国人男性、ミャンマー出国


【バンコク=山本大輔】ミャンマー(ビルマ)軍事政権は16日、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん(64)の自宅に侵入したなどとして同国の特別法廷で実刑判決を受けた米国人ジョン・ウィリアム・イエトー氏(54)を国外退去処分とした。同氏はミャンマーを訪れていたウェッブ米上院議員(民主党)とともに出国し、タイのバンコクに到着した。
米要人として初めて軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長と会談したウェッブ議員の要請に応えたもの。議員はバンコクで記者会見し、「人道的な観点からイエトー氏の解放を求めたが、(スー・チーさんに)危害を与えた彼の行為は大変遺憾だ」と述べた。

 イエトー氏は5月初め、「テロが予見されたので警告したかった」としてスー・チーさん宅に侵入して当局に逮捕され、今月11日に7年の実刑判決を受けた。スー・チーさんは同氏を数日間滞在させたことから有罪判決を受け、自宅軟禁1年半になった。03年から続く自宅軟禁の期限切れが11月に迫る中、イエトー氏の行為は軍政に軟禁延長のきっかけを与えた形で、各国から批判が集中していた。

 また、ウェッブ議員は会見で、「スー・チーさんの解放がなければ来年の総選挙が自由で公平なものになると世界が信じることは不可能だ」とタン・シュエ議長に伝えた、と説明した。

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オバマ大統領、ミャンマー非難 「国際社会の意見聞け」

【ワシントン=村山祐介】ミャンマー(ビルマ)の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんに対する有罪判決について、オバマ米大統領は11日、「普遍的な人権の理念に背き、東南アジア諸国連合(ASEAN)憲章に逆らい、国連安全保障理事会の声明を無視したことをはっきり示すものだ」とミャンマーの軍事政権を厳しく非難する声明を出した。

大統領は「私は国際社会とともにスー・チーさんの即時無条件解放を求める」とも述べ、国際的な連携を強める姿勢を強調。軍政に「真の国民和解のために国民や国際社会の意見を聞き入れることを求める」と迫った。訴追の原因をつくった米国人男性への7年の実刑判決にも「行動とは不釣り合いな懲罰だ」と懸念を示した。

 オバマ政権はこれまで、対ミャンマー政策の見直し作業を先延ばしにして裁判の行方を注視してきた。国務省のクローリー次官補は同日の会見で、有罪判決が「政策に否定的な影響を与えるのは明らかだ」と述べ、より厳しい態度で臨むことを示唆。国連安保理での制裁については「時期尚早」と態度を保留したものの、「判決に対して何をすべきか各国と密接な協議をするだろう」と述べた。

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15/08/2009



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13/08/2009

スー・チーさん軟禁1年半に、軍政決定 総選挙から排除

【バンコク=藤谷健】ミャンマー(ビルマ)の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさん(64)が、米国人を無断で自宅に滞在させたとして国家防御法違反の罪に問われた裁判の判決公判が11日、最大都市ヤンゴン郊外の特別法廷であり、労働を伴う3年の実刑判決が言い渡された。だが、直後に入廷した軍事政権の内相が判決を1年6カ月に減刑し、自宅軟禁にするとの政権の決定を伝えた。

スー・チーさんは約3カ月ぶりに自宅に戻され、これまで通算で14年近くに及ぶ拘束・軟禁状態がさらに続くことになった。軍政側には1年半の軟禁で、来年予定される総選挙からスー・チーさんを排除する意図があるのは明らかで、国際社会からは「悲しみと怒りを感じる」(ブラウン英首相)などと批判が相次いでいる。

 決定は、軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長の名前で伝えられた。軍政側には、同罪では法定で最も軽い3年の刑とし、スー・チーさんを収監せず自宅軟禁にする「配慮」を見せることで国際社会の非難を和らげる狙いがあるとみられるが、活動の自由が奪われることに変わりはない。

 裁判で検察側は、スー・チーさんが自宅軟禁中の5月初め、湖を泳いで侵入してきた米国人男性を滞在させ、食事を与えたことが外部との接触を禁じた国家防御法の規定に抵触すると主張。弁護側は侵入を許した警察に責任があるとして無罪を主張していた。

 弁護側は控訴も検討するとしているが、軍政下で判決が覆る可能性は極めて低い。またこの日、米国人男性に懲役刑を含む7年の実刑が言い渡されたほか、スー・チーさんの自宅で働く家事手伝いの女性2人も1年半の自宅軟禁に置かれることが決まった。

 軍政が掲げる「民政移管プロセス」では来年に総選挙を実施し、新政府を発足させて民政移管するとしている。しかし、多くの民主化運動家が「政治犯」として投獄されており、公正な選挙を求める国連や民主化勢力などは、総選挙前にスー・チーさんを含む全政治犯を解放するよう軍政に強く求めていた。

 スー・チーさんを再び自宅軟禁としたことで、「民政移管プロセス」の正当性に一層大きな疑問符がつくことになった。

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