【バンコク=藤谷健】ミャンマー(ビルマ)訪問中のウェッブ米上院議員(民主党)は15日、首都ネピドーで軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長と会談した。その後、最大都市ヤンゴンにある政府のゲストハウスで、自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんとも面会した。
92年に軍政トップについたタン・シュエ氏が米要人と会うのは初めて。会談でウェッブ氏は、スー・チーさんの即時解放やスー・チーさんの自宅に侵入したとして7年の実刑判決を受けた米国人男性の釈放を求めた。ウェッブ氏の事務所によると、米国人男性は16日、国外退去処分の形で釈放されるという。
スー・チーさんとの面会は会談後に許された。関係者によると、会談は25分ほど続いたという。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も7月のミャンマー訪問でスー・チーさんとの面会を希望したが軍政側は認めておらず、今回は異例の厚遇を見せた。
ウェッブ氏は上院外交委員会アジア太平洋小委員長を務める有力議員。オバマ政権はミャンマーとの関係見直しに言及している。しかしスー・チーさんの自宅軟禁の継続決定で米欧を中心に国際社会の批判が一層強まっており、軍政側は柔軟姿勢を示すことで批判を和らげたいとの思惑があると見られる。